木 下  2025/11/08



 

    近 況  

  秋たけなわ、過ごしやすい季節の筈だが、体調が今一つよくない。

  強いアレルギー体質なので、抗アレルギー剤を毎日飲んでいるのだが、それでも気管支が不調で

  咳と痰が続き、FeNO(呼気中の一酸化窒素)の数値も悪く、鼻水ぐすぐすで鼻炎症状も続く。

  突然、金木犀の匂いもコーヒーやワインの香りもまったく感知しなくなり、新型コロナに感染したかと

  思ったが、熱も出ないし喉も痛くないので、様子をみたら、2週間ほどで匂いが復帰した。

  でも気管支や鼻炎症状は相変わらずで鳴かず飛ばずの状態。

 

  築70年で老朽化した聖堂と司祭館の建てかえを計画し、18年間の積立と返済能力いっぱいの借入金で

  なんとか行けるだろうと想定して、予算を提示して建築設計事務所と契約し、基本的な図面の下に

  複数の工務店から見積もりをとったら想定を大きく上回り再び壁にぶち当たっている。

  100人程度が入れる小さな教会だが、それだけ資金を拠出できる人数も少ない。

 

  近隣の地域で2015年に建てた同規模の教会の総予算に比べ40%アップないしせいぜい50%アップと

  思っていたが見積もりは100%強アップ、倍額以上の提示である。

  国土省や業界の統計ではここ10年の建築費の値上がりは、3540%と思うのだが、

  工務店は今後のリスク費用もみているのだろう。

  近年の建築費の高騰には、一級建築設計士でも、そのコストを適確に見積もるのは難しいようだと、

  痛感している。

  規模は全く違うが、あれだけ専門家が揃って計画した東京オリンピックや大阪万博で、建築費が当初予算を

  驚くほど上回ったことは記憶に新しい。

  さて、どうしたものか。

 

  112日(日)はカトリックでは「死者の日(All Souls Day)」。妻が通っていたバププテスト教会でも

  この日は召天者記念集会があるので、午前はカトリック教会でミサに与って故人を追悼し、

  午後はバプテスト教会の墓地での集会に参加。墓地では一年ぶりに会う人たちもいて、近況など話し合って交流。

  日本キリスト教団ではこの時期にはこの種の行事はないようだ。

 

  日々、新聞の訃報欄を見て、この方の名前はこう読むのか、いい名前だな、両親はどんな思いで

  この名をつけたのか、この方はどんな生き方をしてきたのだろうかなどと思いを馳せている。

  そして、86歳という自分の年齢は、いつ逝っても不思議のない年齢だとつくづく思い

  身辺整理に気合を入れなければとの気持ちを新たにしている。

  たまたま見始めた月曜日のTVドラマ「終幕のロンド」は遺品整理会社、遺品整理人のお話しだが、

  いずれ自分も世話になるだろうと参考にしている。

  主役の元スマップ草彅剛がいい味を出している。彼は玄人筋に評価が高いようだ。

 

  10月は根気が続かずあまり本を読まなかったが、多和田葉子の「犬婿入り」「ペルソナ」を読んだ。

  ノーベル文学賞の季節に、いつも下馬評にでる日本作家では、村上春樹の他に多和田葉子の名前も出ているので

  どんな作家か興味を持って読んでみた。同氏は早大ロシア文学卒、ハンブルグ大学修士課程を経てハンブルグ在住。

  日本語とドイツ語と両方で作品を執筆とのプロフィール。

  個性的な言葉遣いと内容で興味深く読んだが、その奥にあるものがなかなかつかみにくい。

 

  そこで与那覇恵子氏の解説を読む。

  「多和田葉子の小説は間を巡るアレゴリー」

  「犬婿入りの面白さは異物を表出する言葉の噴出感」

  「言葉が一つの人格を形成するような小説」

  「ペルソナが外国人や移民の住むドイツの都市を舞台に文化的差異を扱った小説とするなら

  犬婿入りは異物の存在をみえない存在にしてしまう共同体の強固さを描いた作品」

 

  いや、なかなか難しいですね。勉強になります。

 

  そしてトーマス・レーマー著「ヤバい神」(原題 Dieu Obscur フランス語 Dieuは神、Obscurは判り難い、難解な)。 **

  新約聖書から学ぶ神の正義からして、旧約聖書の神にかなりの 違和感を感じるが、これは昔から神学者、

  聖書学者が取り組んできた問題だ。

  カルヴァンの流れをくむ改革派の牧師で聖書学者、ドイツ生まれのスイス人である著者が

  人類/民族/社会の発展過程に沿い、その時代における文化や習慣への考察を通して、この課題を解釈、解説している。

  100%スッキリとまではいかなくても、かなり理解が進む内容だった。

 

  木下

 



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