MUZMUZ 15  木 下





2023年10月27日  10月 

新型コロナで休止していた会合が、今一つ4年ぶりに開催されました。

現役時代に それぞれの勤務先の商社で 穀物特に小麦/大麦の輸入に携わった者は、
殆どの者が、米国オレゴン州ポートランド勤務を経験しています。
若手社員のころと マネージャになってからと、期間をおいて
2度の駐在経験者もかなりいます。

私も1960年代と1980年代と 2回駐在しました。

日本に居るときは それぞれ手ごわい競争相手ですが、海外での勤務中は一味違います。
ポートランドは コロンビア川の河口から170kmほど遡った所にある河川港ですが
日本/韓国などへの 小麦/大麦などの主要な輸出港です。

物流の拠点というのみならず 各社とも、当時ここでシカゴ、カンサス、ミネアポリスなどの
先物市場のオペレーション、現物市場の市況の分析や買い付けを行っていました。
立ち向かう相手は、市況を動かす情報であり、安定供給の妨げとなる品質問題や
輸出規制等なので、気の合う同業他社トレーダーとは自分の得た情報を確認したり、
意見交換をします。

市の人口は 当時40万人でしたが、日本人社会は狭いので、
私生活で家族ぐるみの付き合いもあれば 週末のゴルフを共にすることも多く、
ある種の絆が生まれました。

私は、一回目の駐在は単身赴任で、よくご自宅に招いて下さって お世話になったM社の方は
そのまま、永住権を得て米国に居住されましたが、後年に私がニューヨーク勤務になった時、
そのご家族と再会し ポートランドではまだ赤ちゃんだった娘さんの、結婚式に招かれ
出席した奇縁もあります。

そんな背景を持った連中が退職後、年に一回食事やゴルフを共にして、
懐旧談など楽しんでいます。

今回は、20数名の参加で 会社の数にして10社ほど、最年長は91歳で 杖をつきつき参加、
最年少は72歳、皆、相応に老け込んでいますが、元気盛りを思い、気持ちは若返ります。

1980年5月18日(日)ポートランドの北東85kmにある セントヘレンズ山、地震をくりかえし、
いつ噴火するかと注視されていた火山が 午前8時ごろついに 爆発噴火、
私達は ポートランド港湾局主催のゴルフコンペの最中で、ゴルフ場から噴火の瞬間を目撃、
同じフォーサムのカーギル社の社員と 火山灰が小麦の作柄に影響することはないだろうと
呑気な話をしましたが、翌日の月曜日、出社したとたん 土石流と流木でコロンビア川が
埋まってせき止められ、中にいる穀物船は出られず、入港予定の船は入れないことが判明。
それから てんやわんやの日々が続き、街には 火山灰が降り注ぎ、
マスクを買いにいっても品切れ、、。そんな苦い記憶も参加者の多くと共有しています。

この日の会合で 向かいに座ったC社の4年年長の方とは、春蒔き小麦品質問題の調査と対策答申を
東京の食糧輸入協議会経由食糧庁から 要請され産地のノースダコタ各州を車で走り回って
調査し対策案を共に作り答申した間柄で、私が帰国時に寄贈してきたゴルフのトロフィを
あまりゴルフが得意でない この人物が優勝して獲得したことも、何かの縁。

ある年のポートランドでの商社穀物部会の忘年会、この年は気合を入れてやろうということで、
土曜日一日がかりで ゴルフ、麻雀、ブラックジャック(カード)、最後はジャンケンの
4種総合得点で優勝を決めようと、場所は大きな社宅にお住いのB社支店長宅で。
そんな楽しい思い出も。

皆高齢なので会合は 昼の2時間半ほど。往年を思い、大いに語り、笑い、楽しんだひと時でしたが
帰りの電車では、若い人に席を譲っていただき、自分の歳を思い知り 
現実に引き戻された一日でした。

10月は 新型コロナ7回目のワクチン、インフルエンザワクチンも済ませ、
用意万端と言いたいところですが、
膀胱内視鏡は要注意で経過観察、気管支もFeNO(呼気中一酸化窒素)の数値悪く
課題含みの現状です。

木下







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