ノルウェイの森 秘話  11/01/21


久下帰国19日の 最後で触れていた疑問が 少し分かりました

映画のエンドクレジッドに 
撮影地として 六甲高校 六甲中学校が出ていたので
色々検索した所 面白いものに出会ったので

コピパチで 3編 紹介します





上映前の情報なので 映画を見て確認してください
もう一箇所 散歩道が出ているという説もあります

何故六甲が選ばれたかは まだ分かりません
作者の出身校 神戸高校も映っているそうです





質問   村上春樹の「ノルウェイの森」のことを、先生は誤訳が小説名になったのだとおっしゃっていましたが、ではどう訳すのが正しいのでしょうか。

回答  村上春樹氏の「ノルウェイの森」は、今66期生の課題図書になっているそうですから、私も図書館で借りて読んでいるところです。

「ノルウェイの森」という言葉は、小説の1ページ目に早くも登場していますね。  
「飛行機が着地を完了すると禁煙のサインが消え、天井のスピーカーから小さな音でBGMが流れ始めた。
それはどこかのオーケストラが甘く演奏するビートルズの「ノルウェイの森」だった。
そしてそのメロディーはいつものように僕を混乱させた。」

「ノルウェイの森」は "Norwegian Wood" という原題を和訳したものですが、「ノルウェイの森」と訳すのは誤っています。
原文を見てみましょう。私が訳しました。
I once had a girl, Or should I say She once had me? She showed me her room, Isn't it good? Norwegian wood.
いつか、ぼくに女がいたことがある。 まあ、ぼくが引っかけられたと言った方がいいかな。 彼女はぼくを部屋に入れてくれた。
「ねえ、すてきでしょ。これ、ノルウェー産の木材よ。」

She asked me to stay and she told me sit anywhere, So I looked around and I noticed there wasn't a chair.
彼女はぼくに、「泊まっていってね」と言った。 どこにでも座ってね、って 言われて周りを見たけど、椅子がない。 座れって、床にかよ・・・

I sat on a rug Biding my time, Drinking her wine. We talked until two, And then she said, It's time for bed.
敷物の上に座って、 あらぬことを期待したりして ワインを飲んで 午前2時までおしゃべり。 そうしたら彼女は 「もう寝ましょ」だって。

She told me she worked in the morning and started to laugh, I told her I didn't, and crawled off to sleep in the bath.
朝から仕事なのと言って、彼女は笑い出した。 「ぼくは仕事はないけど・・」と言ったけど、 しょうがないので部屋を後にし、 洗面所で寝たんだ。

And when I awoke I was alone, This bird has flown, So I lit a fire, Isn't it good? Norwegian wood.
目が覚めたら彼女はいない。 いい女に逃げられちゃった。 というわけで、暖炉に薪をくべたのさ。 「ねえ、すてきでしょ。これ、ノルウェー産の木材よ。」か。  

1965年に出されたビートルズのレコードに「ノルウェーの森」となっているので、村上春樹氏も疑うことなくそれを小説の題名に使ったのでしょうが、
「ねえ、すてきでしょ。これ、ノルウェー産の木材よ。」が、レコードの日本語訳、
「なんてこった!ここはノルウェイの森かい?」だったら意味が通じないですよね。  

また、ビートルズの翻訳にかけては第一人者である内田久美子さん訳の「ビートルズ全詩集」は、
「いいじゃないか、ノルウェーの森」となっていますが、どういう意味か不明で、この行だけ浮いています。  

Norwegian Wood は、やはり「ノルウェー産の木材」と訳さなくては意味が通じません。  
この女性はきまぐれなのです。主人公を自宅に招いておいて、まずは輸入建材か家具の自慢。
そして、部屋に入れてもらったからには・・・と期待する彼の下心を見透かしたかのように、いいかげんにあしらうのです。
「好きなところに座ってね」と、椅子ではなく床に座るのが当然のような言い方。
午前2時までおしゃべりを続けても縮まらない2人の距離感。

「さて、寝ましょうか」というので「!」と期待した彼に、 「明日は仕事が早いのヨ。だからもう寝るわネ」とばっさり。
笑ったのは、「残念でした」とからかっているのです。
そして、一緒に寝させてもらえなかった彼は、 crawl off (しぶしぶ引き下がる)するしかなく、洗面所でひとり一夜を明かす。
そして朝、目が覚めたら女はもういない。 憤懣やるかたなく、男は暖炉に火を入れます。
そこで、木材を手にした彼は、彼女が前夜に言った言葉を思い出し、思わず皮肉っぽくつぶやくのです。
「すてきだね。これもノルウェー産かよ・・・・」

***  ***  *** ところで、I lit a fire. (私は火をつけた。)については、ビートルズ研究家の間で論争があるのだそうです。
というのも、「暖炉」に火をつけたとはどこにも書いていないからです。

実は、この部分は「家に放火してやったさ」という意味にも取れるのです!
では、最後におまけです。

最終段落を、「放火」バージョンで和訳して、今日は終わりにしましょう。
And when I awoke I was alone, This bird has flown, So I lit a fire, Isn't it good? Norwegian wood.
目が覚めたら彼女はいない。 いい女に逃げられちゃった。 そこで、家に火をつけてやったのさ。 よく燃えるじゃないか。
なんせ、ご自慢のノルウェー産の木材だもんな。 ノルウェー産の木材がよく燃えるかどうかは不明ですが・・・




ビートルマニアのyasushi氏らしい面白い内容です。以下、その執筆です。

1 はじまりは「図書」4月号だった
 「ノルウェイの森」といえば、その昔のビートルズの曲のタイトル。そして、大ヒットした村上春樹の小説の名前でもある。
 その「ノルウェイの森」について、岩波書店のPR誌「図書」の4月号に Norwegian Wood を「ノルウェイの森」と訳すのはおかしい、
 「ノルウェイの木材」とすべきだという文章が載った(大津栄一郎「『ノルウェイの森』雑考)。
 
 それによれば、woodが「森」という意味で使われるためには、the woodと冠詞をつけなければならないという。
 原詩は、 isn't it good Norwegian wood. となっていて、冠詞がない。
 だからこの場合、「ノルウェイの森」でなく、むしろ「ノルウェイ材の部屋」のような訳の方が正しいということになるというのだ。
 ほんとうだろうかと思って調べ始めたらあるわあるわ、この曲は謎のかたまりであった。
 そして、これを書いたジョン・レノンはもういないのだ。いったいなにが謎なのか。それはこんなことだった。

2 訳はどうなっているのか
 この曲を知らない人も多いだろう。
 内容はこんな調子だ(無碌子試訳だが、伝統的な解釈による)。

 昔、女をひっかけた
 いやこっちがひっかけられたのかな
 彼女は僕を部屋に呼んでくれた
 すてきだったよ、ノエルウェイの森みたいで

 今夜は泊まって行ってと彼女は言ったけど椅子ひとつさえ見あたらない

 そこで僕は床に座って、ワインを飲みながら、なんとなくおしゃべり
 そして彼女は、もう二時よ 眠らなくちゃ

 朝仕事があるから と言って 彼女は笑い出した
 僕は暇なんだけれどな といったところでどうしようもなく
 僕はお風呂で寝ることになった

 翌朝 目覚めたら僕はひとり
 彼女はいなくなっていた
 そこで僕は暖炉に火をくべた
 すてきだろ ノルウェイの森みたいで

 Norwegian Wood.はいちおう「ノルウェイの森」と訳してみた。
 この部分をプロはどう訳しているのか。
 まずは、LPレコード(EAS-80555)についている訳詩から。訳は山本安見。
 「ノールウェイの森みたいにシャレた部屋さ」 

 つづいて、『ビートルズ全詩集』(内田久美子訳 シンコーミュージック)より。
 「いいじゃないか ノルウェーの森」

 ところが同じシンコーミュージックからでていながら「ビートルズ詩集」(岩谷宏訳)では
 「そのノルウェー材の部屋に」となっている。

3 解説はどうだろうか
 この曲の解説らしきものはないかと思って探したら、
 「ジョン・レノン伝説」(アルバート・ゴールドマン著 仙名紀訳)にはまさにこれにぴったりのことが書いてあった。
 それによれば、「ノーウェージャン・ウッド」という言葉は、イギリス人は知っているが、アメリカ人にはなじみがないもので、
 インテリア・デザイナーが使うファッショナブルな流行語であるとのこと。松材などを自然のまま塗装もせずに仕上げた家具のことであるらしい。
 つまり、ここでは「森」でなく「木材」としてとらえられている。
 
 ただし、さっきの「図書」4月号で大津氏は、「友人のアメリカ人によると、60年代ヨーロッパでもアメリカでもスカンジナビアの家具が大流行し、
 みんなが争って買い求めたものらしい」と書いている。
 大流行したのであれば、「ジョン・レノン伝説」に書いてある「『ノーウェージャン・ウッド』という言葉は、イギリス人は知っているが
 アメリカ人にはなじみがないもので」というのはいささかおかしいとということになるが、まあ、ともかくも「木」説ということでご容赦。

 日本でもスカンジナビア製の家具は人気のようで、たとえば「家庭画報」8月号の特集は「北欧の欲しい家具と食器」。
 また、聞いた話によれば、北欧家具というとイメージがいいというので、スウェーデンの、ある実用的な家具のメーカーの製品を日本の業者が輸入し、
 高く売ったため、その会社から「うちの家具は実用的だということでやっているのに高級品化するのはけしからん」とクレームをつけられ、
 その店では一時期、個人、法人を問わず日本向けに商品を送るのをやめていたこともあったという。
 
 こういうのもある。
 「ビートルズ全曲解説」(ティム・ライリー著 岡山徹訳)の訳者あとがきに、長年アメリカに行っていた友人に、
 訳者である岡本氏が「なぜノルウェーの森というのか、ノルウェーの木じゃないのか」と聞かれ、
 そう言われて考えてみればやはり木なのかなと思うということを書いている。
 どうやら「木」の説の方が有力そう。
 
 お次の証人は辞書である。
 「ランダムハウス英和辞典(第二版)」というすばらしい辞書がある。
 どれくらいすばらしいかと言えば、言葉の用例が詳しくてわかりやすいのである。
 たとえば joke town という言葉には、「冗談の的になる町」という訳だけではあきたらず、
 「東京でいうと名古屋。Los Angeles ならば Burbank など」と書いてあったくらいだ。
 あまりのわかりやすさに名古屋の方から当然クレームが来て、残念ながら第二刷では削除されているけれど。
 
 そのランダムハウス英和辞典で、Norwegian Wood を引いてみた。そんなものがあるのかとお思いでしょう。ところがあるのです。
 Norwegian Wood(ノルウェーの森)The Beatlesの歌(1965)(正しくは「ノルウェー材」の意)
 おどろいたでしょ、ここまで書いてあるとは。

4 本人はなんと言っているのか
 こうしてみてくるとどうも「木」という説の方が有力なのだが、肝心のジョン・レノン本人はなにかいっていないのだろうか。
 「プレイボーイ」のインタビューをまとめた「ジョン・レノン&ヨーコ・オノ ラスト・インタビュー」という本の中で
 ジョンは「Norwegian Wood」を書いたのは自分だとして、そのころ密かにつきあっていた女性のことを曲にしたと言っている。
 そして、インタビュアーが、「タイトル自体はどうですか」と聞いたのに対して。ジョンは「なぜ Norwegian Wood にしたんだろう」と答えている。
 どうも本人はおぼえていないようだ。

5 そして村上春樹が登場
 いよいよもって四面楚歌の「森」説だが、こういう議論がおきたのに答えるかのように
 小説「ノルウェイの森」の著者村上春樹が 今年の6月17日発行の音楽雑誌「ルーディーズクラブ」1994夏号に「『ノルウェイの森』の謎」と題した
 エッセイを書いている。さあ、彼はなんと言っているのだろうか。
 
 それによれば彼は、むかしからのビートルズのファンではなく、ギリシャに住むようになってはじめてビートルズのレコードを買ったのだという。
 そしてちょうどそのころ「ノルウェイの森」という小説を書き始めたところ、どうしても最初の飛行機のシーンに出てくる音楽は
 「ノルウェイの森」じゃなくてはならなかった。それは理屈じゃないということらしい。
 
 そして、「ノルウェイの森」が出版された後、あれは誤訳だという話が出てきているが、彼がアメリカ人やイギリス人に聞いたところでは
 「森」説と「木」説の両方の答えがあるという。
 そこで彼は、Norwegian Wood は、正確には「ノルウェイの森」ではない。しかし同様に「ノルウェイ製の家具」でもないというのが
 自分の個人的な見解であると言っている。 
 
 そしてなかばやけくそ気味に、だってまちがいだろうがなんだろうがあの曲は「ノルウェイの森」だったんだからしかたないじゃないかといい、
 そんなことを気にするのは「木」を見て「森」を見ずだというのだ。
 うまいね。ちょっとダマサレているようにも思うけど。

6 ムラカミ さらに書く
 村上春樹の筆は、これで終わらない。
 ニューヨークのあるパーティで、ジョージ・ハリスンの関係者が「ジョン本人から聞いた話」としてこんなことを聞いたという。
 まったく同じ話を書くと著作権を害することになるように思うので、要点だけ説明するが、Norwegian Woodというのは本当のタイトルではなく、
 最初に考えたのは、Knowing She Wouldというものだったというのだ(発音してみるとわかるがこの二つのタイトルは見事なまでに音がよく似ている)。
 Knowing She Wouldとは、要するに彼女とうまいことできることがオレにはわかっているとか、そういう感じの意味になって、
 当時としてはちょっとアブナイということでレコード会社からタイトルを変えるようにいわれてしまい、
 それでジョンが即興でNorwegian Woodと語呂合わせをやったというのである。 こりゃすごいね、まいりました。
 さすがは村上春樹、間違ってもただじゃ起きないのであった。

7 ということで
 ということで、どうもこれは英語としては「木」説の方が有力のようだ。
 ただ、人によって解釈は違うみたいなので、お近くのネイティブ・スピーカーに聞いてみたらいかがだろう。
 ちなみにお手近のネイティブ・スピーカーであるアメリカ人に聞いたところ、彼は即座に「『キ』だと思います。
 『モリ』ではないと思います。何かで読んだことがあります。アメリカにいる時です」と答えてくれた。
 
 そして彼は、筆者がしていた長野オリンピック記念腕時計に目をとめて「オーナガノ。私は以前、盛岡にいました。
 オリンピックを呼ぼうと街は大騒ぎでした。長野に決まったときは、みんながっかりしました。私も残念でした」と懐かしそうに話していた。
 
 実は、この曲にはこの他にも謎があって、最後のフレーズで「暖炉に火をともした」というのはあれは、部屋に放火したのだという説もあったりする。 
 このほか、なぜLPでは「ノールウェイの森」になっているのかという話もある。
 ふつう、ノルウェーのことは「ノルウェー」と書く。わざわざ「ノールウェイ」と書くことはないではないか。
 東芝EMIに聞いてもピンとこない。
 ひょっとして「ノールウェイ」というのが正しい書き方なのかとも思ったが外務省西欧第二課によれば正しい書き方は「ノールウェー」だという。
 「東芝EMIは『ノールウェイ』なんですが」と言ったら、西欧第二課の担当氏、やや考えて「まあ、イのあることとは思えませんな」。おもしろいじゃないか。
 村上春樹は「ノルウェイ」。ここでもひとり頑張っている。
 
 ちなみに、小説「ノルウェイの森」の大ヒットに便乗して「ノルウェイの森チョコレート」というのが、出ていたことがある。
 発売元のカバヤに聞いたら、あれは講談社との契約で一年限りということで作ったものだったとのこと。残念ながら今はもうない。
 ただ、写真を見たら「ノルウェイの森チョコレート」のパッケージには、Norwegian Woodではなく、FOREST OF NORWEYと堂々と書いてある。

 「なぜこういう英語にしたんでしょうね」と聞いたところ、
 「これだったら中学生にもわかるからじゃないの、ハハハ」と笑いとばすカバヤのお客様相談室の人の声はあくまで明るい。

 うーむ。ホントにこれでよかったのだろうか。しばし悩むのであった。
 と終わり方がなんとなく椎名誠みたいになったところで今回はここまで。





イヤイヤ 博識な方が居られるものですね
敬意と感謝を込めて そしてコピパチのお許しも
有り難う

ふと思ったのだけれど 六甲の木の机や椅子が良かったのでは ・・・